会長挨拶

第86回日本皮膚科学会東京支部学術大会
会長 田中 勝(東京女子医科大学附属足立医療センター皮膚科 教授)

2022年11月19日(土)と20日(日)、新宿の京王プラザホテルで、第86回日本皮膚科学会東京支部学術大会を開催させていただきます。東京支部学術大会としての開催以降、大学分院として初めて本学術大会を開催させていただくことは大変光栄なことであり、まずは心より感謝申し上げます。COVID19の感染状況には大小の波があり、先が読めないため、ハイブリッド形式の開催予定として準備を進めて参ります。

皮膚科学は目で見て診断することを最大の特徴としながら、患者背景、経過を合わせて、さまざまな鑑別診断を考え、さらに血液・尿検査、真菌検査、パッチテスト、画像検査や、生検の病理組織所見も追加して最終診断に至るという極めて独立性が高く、かつ深い学識を必要とする医学の中でも最も奥の深い専門領域と考えております。さらに内科的・外科的治療を1つの科で行いますし、病理診断も行います。学生時代に外科・小児科・病理の3つの進路を考え迷っていた私に、「皮膚科に来れば全部できるよ」と言ってくださった故清水宏教授は正に私にピッタリの道を示してくれたことになります。皮膚科が扱う疾患は多岐に渡り、極めて稀な疾患も含まれることから、しばしば診断が困難です。ひとりが学べる知識には限りがあり、どんなに長い経験を積んでも未知の疾患が数多くあるため、すべての皮膚科医が各々の得意分野のエキスパートとなり、お互いに新しい知識を学会やWeb上で教え合いながら診断力を高めていくことが必要であるという願いを込め、本学術大会のテーマを「皮膚科診断力を磨く」といたしました。

本学会の最大の特色として、土曜日には午前午後に渡り、海外からH Peter Soyer先生を始めとするエキスパートを18名招聘してのダーモスコピーシンポジウムを、日曜日にはLorenzo Cerroni先生を招聘し、皮膚病理シンポジウムを開催する予定です。特別講演1では慶應義塾大学の天谷雅行先生と東京女子医科大学の山上淳先生に天疱瘡についてご講演いただき、特別講演2ではCardiff大学のAndrew Y Finlay先生と京都大学の福原俊一先生に皮膚疾患がQOLに与える大きなインパクトについてご講演いただき、特別講演3ではLondon大学のJohn McGrath先生と大阪大学の玉井克人先生、筑波大学の乃村俊史先生、神戸大学の久保亮治先生に遺伝性皮膚疾患についてご講演いただきます。他にも、多数の教育講演やハンズオンセミナーを企画しました。この機会にダーモスコピーにどっぷりと浸かってみようと思える場になればと願っております。

有意義な学術大会になるよう、教室員一同、鋭意準備を進めて参りますので、東京支部の会員のみならず、全国から多くの皆様にご参加頂ければ幸いです。